ウェブ魚拓 着色実験(高岡真鍮)2011.10.20.15:07
煮色
生地をサンドペーパーで研ぎだす。400から順に2000番まで
煮色 ①~③とも10分.20分の条件で煮込む。
No | 硫酸銅 | 水 | 緑 青 | 塩基性炭酸銅 |
① | 4g | 1l | 4g | |
② | 2g | 1l | 4g | |
③ | 2g | 1l | 4g |
銅分が少ないときは硫酸銅を少なめに緑青を多めにするとよい。
緑青は塩基性炭酸銅35%(元小松印)・塩基性炭酸銅は試薬
①・② とも10分程度が良好 時間を置くと赤褐色になり肌も荒れてくる。
特に②番の配合でその傾向が現れる。
意外と、良好だったのが③番で10分・20分と時間の経過によってきれいな赤褐色が濃くなった。肌のあれは無い。
おはぐろ
下色①・②とも2分間の侵食後、水洗い淡い灰色になる。あまり差は認められない。
下色③は30分侵食後、水洗い濃い灰色になる。
下色④は2分間50℃の温浴で黒っぽい灰色となった。
No | 硫酸銅 | 食 酢 | 緑 青 | 食 塩 | 条 件 |
① | 42g | 1l | 少々(0.5g) | 2g | |
② | 133g | 1l | 8g | ||
③ | 120瓦 | 1l | 65瓦 | 22瓦 | 常温30分 |
④ | 42瓦 | 1l | 63瓦 | 40℃~100℃ |
各下色を生地ばき・漆の二種類でサンプルを作成(おはぐろ仕上げ) (瓦はg)
下色後、薄い硫酸銅水溶液にさっとくぐらせてもどす。
サンプルを加熱後、鉄漿液をねごばけで掃くこれを6~回程度繰り返す。
むらにならぬよう縦横交互に掃く。
①~④の下色に濃淡はあるものの、鉄漿の掃き回数によって色の差はなくなる。
鍋長
下色①・②とも2分間の侵食後、水洗い淡い灰色になる。あまり差は認められない。
下色④は2分間50℃の温浴で黒っぽい灰色となった。
No | 硫酸銅 | 食 酢 | 緑 青 | 食 塩 | 条 件 |
① | 42g | 1l | 少々(0.5g) | 2g | |
② | 133g | 1l | 8g | ||
④ | 42瓦 | 1l | 63瓦 | 40℃~100℃ |
各色下色後かりやす液(かりやすを煮出した液)でかりやす戻しをする。60℃2分間
表面の灰色が取れればOK
各色標準的な赤・黒の漆で仕上げる。
黒色の漆では①,②ともあまり差はないが、④は下色が濃いため色が濃くなる。
赤色の漆では①,②,③の順に濃い色に仕上がる。
下色による仕上がりの影響は大きい。
青銅色
下色①・②とも2分間の侵食後、水洗い淡い灰色になる。あまり差は認められない。
下色③は30分侵食後、水洗い濃い灰色になる。
下色④は2分間50℃の温浴で黒っぽい灰色となった。
No | 硫酸銅 | 食 酢 | 緑 青 | 食 塩 | 条 件 |
① | 42g | 1l | 少々(0.5g) | 2g | |
② | 133g | 1l | 8g | ||
③ | 120瓦 | 1l | 65瓦 | 22瓦 | 常温30分 |
④ | 42瓦 | 1l | 63瓦 | 40℃~100℃ |
文献等から、下記の配合を試すが、いずれも真鍮には発色せず失敗に終わった。
青銅色1
硫酸銅 | 塩化アンモニア | 炭酸アンモニア | 食塩 | 水 | 明礬 |
37g | 3g | 少々(0.5g) | 1l | 少々(0.1g) | |
37g |
| 3g | 少々(0.5g) | 1l | 少々(0.1g) |
37g | 3g | 3g | 少々(0.5g) | 1l | 少々(0.1g) |
青銅色2
醋酸銅 | 塩化アンモニア | 硝酸銅 | 水 | |
30g | 5.5g | 7.5g | 1l | 製品を加熱しながら掃く |
青銅色2についてはわずかながら発色するが実用ではない。
いずれも、下色後、着色液を布に染み込ませ拭いては乾かす。これを5回繰り返す。
文献の配合は青銅(赤地)であれば着色するが真鍮には不向きである。
ためしに薬品を10倍量にしてみるが、どの配合もわずかながら青銅は発色するが、薄く、実用レベルにない。
青銅色3
硫酸銅 | 塩化アンモニア | 炭酸アンモニア | 食塩 | 水 | 明礬 |
370g | 30g | 5g | 1l | 1g | |
370g |
| 30g | 5g | 1l | 1g |
370g | 30g | 30g | 5g | 1l | 1g |
参考
文献 金属の着色より
No34(濃古代緑色)
アンモニア250cc・炭酸銅250g・炭酸ソーダ200g・水1l
(温液を用いる)
青銅色はつくが薄く実用的ではない
No35
硝酸銅35g・塩化アンモニア30g・蟻酸60cc・水1l
青銅色はつくが薄く実用的ではない
青銅色に関しては各実験から文献等の記述はYBC3には不向きであり実用には向かないので家伝の配合を参考に下記の配合を決定した。
水1リットルあたり、硫酸銅300グラム、塩化アンモニュウム300グラムの水溶液を加熱し、全量を溶解し、常温放置後製品に塗布、乾燥を5回繰り返す。その後、炭酸アンモニュウム水溶液(1リットルあたり10グラム)を徐々に固く絞った布で、5回ほど拭き上げる。
以上の結果から、下色に関してはあまり差がないことと、扱いのよさ並びに家伝の経験から、下色①と設定した。
また、煮色に関しては安価な③の塩基性炭酸銅試薬の方法を採用した。
この配合を基に、鉛レス試験片と通常のYBSC3の着色比較実験を行った。その結果、鉛レス素材は色が付きにくいが、全く着色できないことはないことが解った。(写真参照)
また、写真から解るように、金属の硬さからか濃淡の差があるが、おはぐろに関しては色を合わせるために、おはぐろのはき具合で調整ができ、また鍋長色に関しても拭き具合で調整できることが解った。
銅 | 亜鉛 | 鉛 | アルミニュウム | シリコン | |
YBSC3高岡真鍮 | 61% | 35% | 2% | 0.2% | |
鉛レスシリコン真鍮 | 71% | 26% | 3% |
YBSC3テストピースはノーサク製作所に、鉛レステストピースは渡辺鋳造所にご協力をいただきました。
light-monochrome